勝手に追悼シリーズその2。
本来は、その2は米原万里さんだったのですが、順番を入れ替えて。
吉村昭さん。
2006年7月31日午前2時38分、膵臓がんによりご逝去。79歳。
新聞で訃報を知って、思わず声を上げてしまいました。
初めて読んだのは、思春期真っ只中の高1のころ。
若者の集団自殺をテーマにした『星への旅』は、随分と印象に残りました。
(特に、死んだ少女が標本とされていく過程を描いた『少女架刑』『透明標本』は、息を詰めて読みました)
その後、いくつか読んだ作品の中では、
『戦艦武蔵』、『漂流』、『破獄』がよかったです。
(『漂流』のアホウドリが美味しそうでねえ…、しょっちゅうお風呂の中で読んでました)
綿密な調査から生まれる説得力。
感情に流されず淡々と筆を進める誠実さ。
こう…。
盛り上げというか、はったりというか、そういうものが欠けていた分、
時々、教科書を読んでいるような気分になったこともありますが、
筋書きそのものが持つ力強さ、骨太さという点では、ぴか一だったと思います。
まさに「職人」でした。
多作なので、未読の作品はまだたくさん。
どれを買っても、そんなにはずれはないという安心感があります。
まあ、ぼちぼち読んでいこうかな。